ペリカンの万年筆の特徴
世界中で愛されているペリカンの万年筆。その理由はさまざまですが、よくあげられる特徴として、ペリカンのくちばしの形をしたペン先があります。独特の形ですが、社名がペリカンだから〜というわけではなく、形をこうすることで万年筆にとって重要なペン先の抜群の耐久度を実現しているのです。また、ペリカンはインクメーカーとして誕生したため、インクの技術に非常に優れており、急激な温度変化や気圧の上昇・下降に強くいかなる状況でも変わらぬ書き味を実現しています。
ペリカンの産声
万年筆の老舗メーカーとして高名なペリカン社のルーツは、1832年にまで遡ります。ドイツのハーノーバーで宮廷画家を父に持つ科学者、カール・ホーネマンが独自の製法で絵の具の生産を始めたのが社の興りです。ペリカン社の象徴である親子のぺりかんを象ったロゴマークは1963年に経営に参画したギュンター・ワーグナーの一族の家紋から由来しています。1929年、すでにインクのトップメーカーとして名高かったペリカン社は、万年筆の製造に乗り出します。発売当時は世界的な大不況であったにもかかわらず、この万年筆は大ヒットとなりました。成功の要因として、これまでのインクメーカーとしての名声が後押ししたのは疑いようのない事実ですが、継続的なヒットとなったのは、ペン先のピストンノブの誤差がわずか100分の1mmという、高い技術力が評価されたからにほかなりません。これ以来、ペリカンは筆記具の代表的なメーカーとしての地位を着々と築きあげていくこととなります。
ペリカンの歩んできた道と万年筆
高級筆記具の一大ブランドであるペリカン。しかし、今日のブランドも順風満帆な歩みの下で築き上げられたものではありません。
第二次世界大戦によるペンの生産の一時停止、低価格路線の失敗、さらには1970年後半にはボールペンの技術向上により、実質的に高級筆記市場は壊滅的な打撃を受けてしまいます。
ペリカンは1982年、ついに資金難で身動きが取れなくなり、その資産は管財人の管理下におかれます。経営の再建に取り組むべく参画した新たな経営陣たちは、その中心事業、すなわち万年筆の回帰を決定します。高級筆記具市場の崩壊により苦難にたたされたところに、万年筆への回帰による再建に乗り出すという決断は大変勇気のいるものだったと思います。
結果的にこの決断がペリカンを再びの成功をもたらします。
この再建時にリリースされたスーベレーン800シリーズはペリカンの復活の象徴となり、モンブラン社のマイスターシュテュックとともに、万年筆の代表的な存在となりました。

社の代表作であり象徴であるスーベレーン800。この万年筆のファンは世界中にいる。
ペリカン万年筆の代表作スーベレーン800
上でも取り上げたペリカンの万年筆代表作「スーベレーン800」ピストン吸入式のこのペンは、太軸に縦縞の一度目にしたら忘れられない存在感のあるボディが特徴です。
1997年にはドイツの万年筆専門誌が主催するイベント、ペンオブザイヤーを受賞。
高いデザイン性だけでなく、ペリカンの技術力とクラフツマンシップに裏打ちされた、ペン先の耐久性・いかなる状況下でも変わらぬ書き味を併せ持ち、世界中の万年筆ファンに愛され続けています。